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福島大学水資源利用学研究室

学内競争点研究資金の採択

2019.06.05 07:43

moono 閲覧数:426

令和元年度学内競争点研究資金に採択されました。

 

1.研究課題名

時系列衛星データを用いた西アフリカの水管理状況の推定に関する調査研究

 

2.研究の目的と概要

 学内競争的研究資金の採択アジア等の米麦の緑の革命の成功を受けて、サブサハラアフリカ(SSA)でも同様の成果を実現すべく国際機関AfricaRice(アフリカ稲センター)等は、品種改良を中心に活動を開始してから50年が経過したが、SSA全体としては緑の革命は実現していない。一方、FAO統計によれば、2010〜2016年の国別平均籾収量は、Madagascar (4.0t/ha)を先頭に、Senegal (3.9t/ha)、Mali (3.0t/ha)、Ghana (2.6t/ha)、Coted'Ivoire (2.5t/ha)、Nigeria (1.9t/ha)、Guinea (1.2t/ha)と収量は向上しており、アジア諸国においつく雁行型発展が認められる。しかし、何故近年籾生産性が向上し始めたかについて実証的学術研究は少ない。とりわけ国際協力機関JICAが2008年に開始したCARD(アフリカ稲作進行のための共同体)の目標達成(2018年までにSSAの年間籾生産を1400万tonから2800万tonに倍増)に最大の貢献をしているNigeriaのKebbi州の稲作は、2008年平均籾収量2t/haで10万tonの籾生産から、2017年時点で平均収量5t/haで200万tonが生産された(NAERLS & FDAF, Michigan State Univ, USAID, IFPRRI, GEMS4の2017年の報告)。 Kebbi州は10年間でどのような革命が起きたのか、応募者は疑問を持ち、西アフリカで長年稲作の研究をしてきた同学類の渡邊准教授、島根大学名誉教授の若月利之先生(渡邊准教授の指導教員)と議論を続け、灌漑水田の開発と、農業者による農業用水の管理技術の発展によるものに違いないと考えた。さらに、Google Earthを用いてKebbi州を探検しつづけたところ、延長400kmに及ぶ氾濫原の全域で2011-2018年という短期間で、個々には小さいが無数のしかし合計数万ha以上に達する「農業者の自力(内発的)灌漑水田開発」が実現したことを確信させる時系列画像を2019年に発見!!これはGoogle Earth Engineの衛星データを用いて、水田の灌漑状況の推定が可能であれば、籾生産量との関係を比較することで、日本からも、近年西アフリカの籾生産性が何故向上したかについての学術研究も可能ではないかと考えた。 そこで本研究では、若月先生の研究実績があり現地調査の協力が得られるナイジェリアKebbi州の稲作地域を対象に、①複数の水田に水位計を設置するとともに、ドローンによる空撮と聞き取り調査を行い、地区内の灌漑水田開発や、農業用水の管理状況を調べる。また、②Google Earth Engineから現地調査時期の衛星データを用いて、水管理状況を推定し、現地調査の結果と比較検討を行い、判別手法を確立する。③さらに、対象水田の籾生産量と比較検討を行い、農業用水の管理状況が西アフリカの籾が生産量に及ぼす影響を明らかにすること、などを目的として、西アフリカ諸国の米麦の緑の革命に貢献する。

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